白痴

R18ご注意。

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「何とかしろよコイツ」
一人は男に口淫をさせながら。
「コイツの目的はお前だったんだからさ」
もう一人は男に手淫させながら。
「始末するなりなさったら?」
最後の一人は男を正面から犯してやりながら。
三獣神と畏れられる女たちは、代わる代わる一護に言葉を放った。

「ッ助けたんなら責任持てよ!ていうか殺せなんて…破面のあんたらなら分かるけど俺は別に…!」
あまりの光景に思わず目を逸らしながら一護は怒鳴る。
そうしている間にも四人の淫行は続く。
「まじ甘ぇー…ぁ、イく、ちゃんと飲めよッ」
一護の台詞に心底うんざりした顔をしてから、アパッチは男の喉奥まで自身の陰茎を押し込んで乱暴に命じた。
「んぐっ!…ん、ん、」
男は生理的な涙を溢しながらも、こくこくと喉仏を上下させて懸命に、美味しそうに口内の精液を飲み込んでいく。そして飲み干した証拠として口を開いて見せた。そんな男をアパッチは見下ろし、満足げに息を吐く。
「噂通りの甘ちゃんですわね。…あら、腰がお休み中ですわよ」
スンスンが男の陰茎をバラ鞭で容赦なく叩くと、拘束されたはずのソコはとろりと勢い無く半透明の体液を吐き出す。反射的に腰をくねらせるその様を酷薄な瞳で見つめ、彼女は腰を大きくグラインドさせた後、男の最奥まで突っ込んで自分の欲を注ぎ込んだ。
「───ッぁ゛!!、あぁあ、ぁ!」
背を仰け反らせて悲鳴じみた嬌声を上げる男。ミラを愛撫していたはずの彼の手は止まってしまう。彼女は溜息をひとつ落とすと仕方なしに自分の手で自身を慰め、未だ快楽の余韻に浸からされている男の顔に精液をぶちまけた。
「ウチらもさ、最初はぶっ殺そうと思ってたんだけど…」
うっとりと目を細めて白濁を浴びる男を、一護は信じられないものを見る目で凝視してしまった。
これは…本当に「アイツ」なのか…?
「案外溜飲が下がっちまったっていうか…」
「不本意ながら、愉しませていただきましたわ」
「こんな状態のコイツ殺してもつまんねぇし。てわけだから」
三匹の女達は一息つくと、一護に言った。
「「「引き取れ(りなさい)」」」
「ふざけんなッ!」
「そんな事言いつつしっかり勃ってんじゃねぇか」
ミラが響転で近づいて一護のそこを指でつついた。
「よせっ」
「ほら見ろよ死神、とろっとろだぜ。指入れただけで軽くイっちまうド淫乱だしよ」
アパッチは故意にぐちゅぐちゅと音を立てて男の後孔を指でえぐり、とろけきったそこを指で割り開いて見せた。ミラに後ろから羽交い締めされ、その光景を見せつけられる一護はせめてもの抵抗として、かぶりを振って欲を散らそうとする。
「オラ、イくとこ見てもらえよッ!」
そう言うとアパッチは、男の弱いところを集中的に責め立てた。
「ッあ゛、は、あ、あ、ああ…ぃや、───や、ぁ゛あ゛ッ!」
甲高く啼くと、男は内腿を震わせ、爪先で宙を蹴った。快楽によって溢れた涙が男の頬を伝い落ちるのを見て、一護は胸の奥に痛みのようなものを感じた気がした。
「貴方が挿れてくださるのが待ちきれないんですって。こんなにこぼして…本当に堪え性の無い方。早くして差し上げないと本当に泣いてしまいますわよ」
男の腹上に溜まった先走りと白濁とを指で掬いながらスンスンは誘う。
「俺は…俺は…!」
必死に首を横に振る一護にアパッチは侮蔑的な視線を向ける。
「ったく萎えるわー、この期に及んで良い子ぶりやがってよ。お前だって散々だったんだろー?やり返せばいいじゃねぇか」
「あれは…互いに譲れねぇもんがあったんだから仕方ねぇだろうが!」
羽交い締めされたまま一護は叫ぶが、三人娘は全く意に介していないようだった。
「このオレンジが新しいご主人様だぞー。ちゃんと気持ちよくできますってアピールしねぇとな、ごしゅじんさまに」
一護の抵抗を無視して男に言葉を投げかけるミラ。
「…ご、ごしゅ、じんさま…?」
アパッチの攻撃的な愛撫から開放された男は、ミラの言葉をたどたどしく反芻して、四つん這いで一護ににじり寄った。一護の前にぺたんと座り込み、仄かに兆しているズボン越しに愛おしそうに頬ずりをする。 自分の中にある男の姿とのギャップに、一護は目眩がした。
「ッやめろ!!」
渾身の力で拘束を振りほどいて上着を脱ぐ。
「…?」
その上着を優しく羽織らされて、男は不思議そうに小首を傾げる。
「………分かった、ちょっと待ってろ」
一護は低く言うと、ポケットから伝令神機を取り出してボタンを押した。






あれから一ヶ月、浦原喜助が創り出した仮想空間にて。
簡素な部屋だ。寝台が一つに机が一つ、浴室へと続く扉が一つ。そして椅子は、二つ。出入口となる扉には、外から鍵が掛けられている。窓もあるが、カーテンは閉められたまま、一度も開かれたことがない。とはいっても、外の景色も作り物であり、本当にそこに存在しているわけではないのだが。
「よう、大人しくしてたか」
「!ごしゅじんさまっ」
一護が声をかけながら入室すると、キルゲは絵本から顔を上げて、ぴょこりと立ち上がった。
「だぁからそうじゃねぇって。俺は一護だ、言ってみろ。い、ち、ご」
「いー、ちー、ごー?」
「そうだ。言えたじゃねぇか」
「んー」
頭を撫でてやれば気持ちよさげに目を閉じる。
そうしてしばし撫で続けていると、キルゲはこらえきれないといった風に一護を押し倒した。
「んなっ!?ちょ、ちょっと待てって!!」
「いちご、いちごっ」
既に熱く勃ちあがりかけたそこを一護の太腿に緩く擦り付けてくる。明け透けなキルゲの行動に、一護は顔を赤くして一瞬言葉を忘れた。
「ッ……ったくしょうがねぇなぁ…本当は勉強後のはずだったのによ」
三獣神の話では、発見した時には性交の事しか考えられないように教え込まれたあとだったらしい。自分を犯していた男たちの成れの果てをきょとんと見つめていたかと思えば、近づいたアパッチを押し倒してその中心を咥えたそうだ。相手を悦ばせることでしか生きられないと思い込まされている無理矢理開発された身体は、誰かが鎮めてやらなければ胎内で荒れ狂う熱を持て余してしまう。記憶やかつての性格さえ亡くした男自身ではどうする事もできないのだ。その為、時には暴れ、周囲だけでなく自分自身をも傷つける。それを放っておく事ができないのは一護のサガだった。
「ん、ちゅう」
「分かった分かった、ほら、ちゅー」
キルゲはキスが好きだ。どうやら『こうなって』からキスは未経験だったらしく、セックスはキスから、と考えていた一護が初めて口付けたときは目を白黒させていたが、それをいたく気に入ったらしいキルゲは、会うたびに一護にキスを強請るようになった。
唇を軽く重ねると、何度も啄んでやる。薄い割には案外柔らかいキルゲの唇の感触をもう少し楽しんでいたいと思う一護だが、キルゲは急いて口を開いてしまう。早く、と言う代わりに下唇をぺろりと舐め上げられて、一護は期待に応えてやろうと角度を変えて深く口付けた。
舌を絡ませ、唾液を送ると、キルゲはこくりとそれを飲み下す。もっともっとと強請るように舌を差し込まれて、一護は口内を蹂躙されているような気分になった。お返しとして舌で上顎を撫でてやれば、キルゲは鼻に抜けるような声を上げた。
「ふぁっ…んむ…んん、」
「ん…」
口内から聴こえる水音に耳を犯されて、一護は体温が急激に上がるのを感じていた。キスだけでも気持ちよくて仕方がない。キルゲもそうであるらしく、既にズボンの上からでも勃ちあがっているのが分かる程だ。口付けの合間にも、苦しいのかもぞもぞと腰をくねらせている。一護は素早く態勢を入れ替えると、キルゲの中心に手をやり、ズボンの前を寛げて下着ごと一気に引き下ろした。
「ん…っ?」
「苦しいだろ、一回抜いといてやるよ」
一護は優しく声を掛けたが、キルゲは首を横に振った。
「…いっしょ」
「あ?…あぁ、一緒がいいのか。うーん…」
実を言うと、一護は明日からテスト期間に入るため、しばらくここに来ることが出来なくなる。したがって今日のうちにキルゲを可能な限り満足させておかなければならないのだ。そうしてやらなければ、また自傷行為に走ってしまうだろう。だが、ここで一緒に抜いてしまえば、若い一護も多少は消耗する。
と、少し渋った一護だったが。しばし動きを止めて考え込んでいる間に、キルゲが一護のズボンのベルトを外そうと四苦八苦しているのに気付き。
楽観的に考える事にした。
「いいぜ、ちょっと待ってろ」
カチャリと軽い音を立てて難なくベルトを外す。それを見てキルゲは碧い瞳を輝かせた。
「いっしょ?」
「おう、一緒だ」
半勃ちの自身を取り出して、キルゲのそれと合わせて握る。が、二人分はやはり手に余った。
「…やっぱデケェなぁ、アンタの。ほら。手、貸せ」
「ん…ぅん」
キルゲの長い指が一護のソレとキルゲ自身に絡む。
ちゅこちゅこと音を立て、ふたりで共に手を動かす。拙い手の動きの合間を縫うように、一護は相手の先端に柔く爪を立てたりふっくらとした袋の部分をそっと揉んだりしてやった。そうすれば、あっという間に高められたキルゲは背を弓形にしならせて熱を吐き出す。
「……──っ!!ッは、あぁ……は」
「ふ……ちゃんとイケたな」
よしよし、と頭を撫でて褒める。いつもなら上機嫌で続きをせがんでくるのだが、この日は違った。
一護の手の感触にうっとりしていたのも束の間、ハッとしたようにキルゲは己を愛撫する相手を押し退けると身を起こして体ごとぷいっとよそを向いてしまったのだ。
普段とは違う様子に一護は腕を組んで首を傾げた。じっとキルゲの背を見つめていると、彼はちらちらと一護の方を見ようとしては止め、を繰り返しているのが分かった。
「どうしたんだよ、」
にじり寄って肩に手を置くと、一瞬振り払われるかと思ったが、キルゲはちらりと一護の手を見遣るだけだった。その時見えた口元が、むぅっととがっていて、一護は合点がいった。
あぁ、拗ねているのか。
「あー……悪かったって。アンタだけ先にイかせちまってさ」
一緒に、という約束だったが、やはり体力温存のために一護は射精を堪えた。それがキルゲにとってはちょっと許せないことだったようだ。
ぷんすかと音をたてていそうな佇まいに、一護は思わず噴き出した。
するとキルゲは勢いよく振り返り、一護をじぃっとにらみつけた。しかし目に涙を湛えた状態では迫力など皆無で、むしろ微笑ましさすら感じてしまう。
キルゲをこの空間に連れてきた直後、彼はセックスに対する積極性以外なにも持っておらず、一護が部屋で休むよう促しても小首を傾げるだけだった。挙げ句、一護がしどろもどろで行為を拒否すれば、自刃しようとボロボロの滅却十字を輝かせる始末であったため、その頃に比べれば成長したなぁと感慨深く頷いてしまう。
浦原によれば、本能的に働いたと思われる霊子吸収によってかろうじて回復はしたらしい外傷のショックと、その後の刷り込みによって喪われたキルゲの精神が戻ってくる可能性は非常に低いらしい。だが、一度朽ちた樹木から新たな芽生えがあるように、キルゲの中に新しい自我が生まれ、育ってきているのだそうだ。そのため、「情操教育は大切ですから」と絵本や小学生向けの教材まで用意してくれた。どうしてそこまでしてくれるのかと一護が訪ねれば、少し躊躇ったあと「黒崎サンと同じッスよ」と答えられて、言葉に窮してしまった。
というのも、一護自身なぜ敵だった男をこのような形で保護しているのかよく分かっていないのだ。確かにキルゲの有様を見て気の毒には思った。しかし、互いの正義を守り通そうとしたのあの戦いの相手にそのような気持ちを抱くのは、失礼な気もするのだ。では、なぜ。
思考に没入しそうになった時、キルゲが遠慮がちに一護の手に触れた。その指先は冷えて、目線は怯えたようにふたりの手元に落とされている。
「ごめんなさぃ……ッごめ、なさいぃ」
嗚咽混じりの震える声音でキルゲは謝罪を繰り返す。どうやら黙り込んでしまった一護を見て、怒っているのだと勘違いしたようだ。
その様を見て、一護は咄嗟にキルゲに口付けた。そうだ、キルゲを保護した理由。どのような理由であれ、彼が泣く姿を見ていられなかったのだ。快楽によって引き出された涙だとしても、そこには深い悲しみや絶望が多分に含まれているのだと一護は直感した。だからこそ、どうせ泣くのなら安堵やしあわせからくる涙をこぼしてほしいと思った。三獣神からキルゲを引き受けた時、無意識にそう考えていたらしい。今なら分かる、これは一護のエゴだ。
自覚はある。しかし目の前で泣きながら謝るキルゲの姿は痛ましく、一護は思わず口づけに頼ってしまった。そうすれば一時的だとしてもキルゲをしあわせにしてあげられるかも知れないという望みに賭けて。
かくして、一護の願い通りキルゲはひくっと泣き止んだ。触れるだけのキスだが十分だったようで、ぽかんと呆気にとられた後、へにゃりと微笑んでくれた。
その笑みが虚圏で戦闘を行ったあの高飛車な相手とは思えないほど無邪気なものであった為か、一護は目頭と鼻の奥がツンと痛くなった。
俯いた一護を見て、キルゲは不思議そうに彼の名を呼んだ。
「……ッ何でもねぇ。それより、続きだ続き」
ぐすっと鼻を鳴らしてから言えば、キルゲの表情が明るく華やぐ。それを見て、現金だなぁと思いつつ、可愛いと思ってしまった自分の心の声に一護はひどく驚いた。しかし、一度認めてしまえば、あとはその感情が最初から僅かながらもあった事に気づく。一護をご主人様と呼んだその瞬間 、否もっと前からかも知れない。一護の手のひらの上で転がされるキルゲはなんと言うか、少し可愛かったのではないかとすら思えてくる。
すくっと立ち上がり、かろうじて身に纏っているシャツを脱ぎ捨てると、キルゲはベッドサイドから潤滑剤が入ったボトルを取り出して寝台にいそいそと乗り上げた。ちょこんとベッド上に座り込み、すぐ隣のスペースをぽふぽふと叩いて一護を待っている。一護は苦笑気味にベッドに乗り、キルゲをそっと押し倒した。碧い瞳をきらきら輝かせて一護にローションの入ったボトルを手渡してくる彼に、一護はやはり微笑ましさから噴き出してしまう。ぱちくりと目を瞬かせるキルゲに、何でもねぇ、と口付けて、ボトルのキャップを開いた。
以前はもっと積極的に一護に跨がろうとしていたキルゲであったが、彼の『教育』の賜物か、今は受け身の姿勢をとるようになってきた。和姦でなければならないという一護なりのこだわりだ。挿れる側であってもそれは適応される。どちらかの心の準備が整っていない状態では行為はしてはならないと一護は考えている。それが叶わない生き方を強いられてきたキルゲに、その考えを噛み砕いて説明すると、理解しているのかよく分からないきょとんとした表情で頷かれた。とりあえず、「アンタがシたくて、俺もシたかったなら、ヤろう」とは言い含めてある。
そのため、一護は一応キルゲにお伺いをたてる。彼はこくこくと何度も頷いた。いついかなる時でも応じてしまうのは知っているが、一応、だ。嫌だったら断るように何度か伝えてはあるが、一護ならいつでもOKらしい、色々と心配だなどと考えながら、ボトル中のとろみのついた液体を自分の手のひらに落として人肌温度まで温める。
キルゲは自ら脚を開き、枕の一つを腰の下に敷いて今か今かと待っている。この光景には少し慣れてきたとはいえども、やはり以前の彼とのギャップに目眩を起こしそうになる。
かぶりを振って気を取り直し、十分に温まったローションまみれの指の腹でキルゲの後ろの窄まりに触れる。幾度となく受け入れることを強いられてきたソコは、ちゅくっと音をたてて一護の指先を難なく飲み込んだ。
「ッん……」
既にとろけきった目で一護から与えられるであろう快楽を待つキルゲの胎内は、熱くうねり指に吸い付いてくる。ココに挿れたらすぐ持ってかれちまいそうだ……とごくりと唾液を飲む。ある程度指だけでイってもらうか、と一護は慣れた手付きでキルゲの前立腺を探し当てて軽く押した。途端、ぴんと引き攣ったように足先を伸ばし、腰をひくつかせるキルゲを見て、一護はにやりと口角を持ち上げた。いくぜ?と声をかければ期待を込めた潤んだ目で見つめられる。
まずは……と、しこりの周囲をなぞる様にくるくると円を描く。空いている左手はぷっくり勃ちあがった胸の飾りへ伸ばしくにくにと弄んでみた。
「ひぁ……っんん、んあ」
足りないと言うようにキルゲは腰を揺する。
「そう急ぐなって」
前立腺を指の腹でとんとんと叩くように押せば、そのリズムに合わせるように甲高い声があがる。
「ぁ、あ、あ、あッ、そこ、きもち、ぃい、ッすき」
「そうだな、気持ちいいな」
拙いながらも懸命に伝えてくるキルゲの言葉に、一護はもっと気持ち良くしてやりたいと思った。いつもの調子ならばとっくに自身を挿入している頃なのだが、今日はぐっと堪えて指を駆使してキルゲを高めていく。手首のスナップを効かせてくるりと内壁を撫で、そのやわさを再確認する。おそらく未経験だったであろうココを、こんなになるまで酷使されていたという事実が一護にはつらかった。三獣神曰く自業自得だそうだが、彼には彼で、従わざるを得ない命令があったのだから一概にそう断じてしまうことはできないと、一護は思うのだ。まあ、無意味に殺戮を繰り返したあたりは擁護できないが。
ぐりゅっと音を立てたような錯覚すら起こす感触を伴って、一護はキルゲの弱いところを押しつぶした。そうすれば、びくりとひとつ大きく痙攣する。ぐりぐりと力を弱めることなく断続的に刺激を与えると、キルゲは従順に快感を享受し果てた。触れずとも白濁をとろりと零す中心がふるりと果敢なく震える。
ここに至ってやっと、一護は指を引き抜き自身をキルゲの後孔にあてがった。あとはもう、何度も襲い来る快楽の波に身を任せさせてやるだけだ。
期待を込めてひくりと収縮するソコがいじらしい。しかし、キルゲは怯えた瞳で一護を見た。と言っても既にその碧い眼は涙で煙り、焦点もしっかりと結べなくなってはいるが。
「ま、まって……イってぅからぁ」
「すまねぇ、俺も我慢の限界なんだ」
とは言いつつも、一護は最後の理性を振り絞って、ゆっくり、じっくりと時間をかけて蜜壺に自身を沈めていった。だがそれだけの刺激でも十分過ぎたようで、キルゲは白い喉元を晒した。そこにかぷりと噛み付いて痕を付けると、一護は抽挿を開始する。
「あ゛ッ、まって、ま、ってぇ、イく、また」
「おう、何度だってイっていいんだぜ」
「ひぅ゛、あ、あぁっや、も……ぁッいくぃく、いっちゃうぅ!」
「は……、上手くイけたな、えらいぞ」
腰を打ちつけ最奥を狙えば、キルゲは全身で悦んでくれる。それが一護は嬉しい。男冥利につきるというものだ。
何度もドライで絶頂し続けたキルゲの限界が近いことを悟った一護は、ペースを上げる。
キルゲの体のことを思えばこそだ。ここで手加減でもして少しでも欲求を残してしまえば、また暴発して浦原に治療してもらわなければならなくなる。
ふいに、キルゲが一護を呼んだ。
「ッなんだ……?」
「いちご、すき、だぃすき」
「──っ!!」
「あ、おっきくなった……?」
「アンタなぁ……!!!」
もう我慢の限界だった。一護はキルゲの腰をがっしりとつかまえて、彼の弱点を容赦なく抉るように抽挿を繰り返した。
「あ゛ぁッ!もっと、いちごぉ」
「、分かってるッ」
「ん゛、あ、い…ぁ……───ッあ゛ぁ゛!!」
「……くッ!」
ふたり同時に果て、一護はキルゲのしっとりと汗ばんだ肢体の上に覆いかぶさるように倒れ込んだ。
荒い呼吸を繰り返すキルゲの耳元で一護は囁いた。
「今日はとことん付き合ってやっから。空っぽになるまでな」
ヒッと息を呑むキルゲに微笑うと、一護はさて、第二ラウンドと行くか、と身を起こした。
生き長らえてしまったのは、キルゲにとって幸か不幸か。それは一護には分からない。だが、あのままユーハバッハの下へ還った方がしあわせだったのかも知れないとも思う。それでも、今こうして生きて、一護に抱かれている彼が不幸だとは思いたくなかった。







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本当は寝言で陛下を呼ぶキルゲさんに冷水ぶっかけられる一護ちゃんまで行きたかったけど力尽きました。ごめんなさい。ここまで読んで下さりありがとうございました。

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